2ntブログ
  • サーシャの穏やかな日(後) ※旧作(第一部)完
    4  それで嬉しいことであると共に困ったことにもなった。サーシャの立場からして、一般的な人間と話が噛み合う訳もないし、あまりベラベラと話すわけにもいかない(たとえ説明しても理解不能な世界だった)。  それでも公園で缶ジュースを飲みながら話をしたところでは、どうやらサーシャの試合の映像を見たのだという。なんでもその女の子は一時期パンクラチオンに手を出したことがあり、狂ったルール変更で参加してきたオカ...
  • サーシャの穏やかな日(前)
    1  コロッセオゲームの内容自体はヤバイ見世物ビジネスではあるものの、裏で色々と(良心的に?)配慮されていることも事業が成り立っているもう一つの理由なのだろう。「救済企画」の一面があるためにカンパの意味で金を出しているような客も多いようだ。  それでたまに「サービスイベント」があったりする。  一例は「サーシャとリングで戦いたい」企画。希望者が殺到して、最終的に高額落札者と抽選当選者で半分ずつの三十人を、二...
  • 鬼畜暴力と狂った人間5/ルーキー誕生(後) ※残酷、閲覧注意
    2  映像をリアルタイムで観戦していたサーシャは「なんなの、あいつ」と呟いて気持ち悪そうに顔を顰めている。  隣でモニターを見ていた間宮は満足そうに頷いた。   「これだよ! 俺が言った「狂った奴だけが勝ち残る」ってのは。あいつ、明らかに面白がってやってるからな。「好きこそものの上手」で、生ぬるいお上品な日本人としては屈指の逸材だよ。 奴は見事に人間の根幹の本質を解放しきっている。サディズムだの猟奇的だの大...
  • 鬼畜暴力と狂った人間4/ルーキー誕生(前) ※残酷、閲覧注意
    1 瀬戸は笑っていた。  廃校舎で旧型の猟銃を持った女と日本刀を持った男と鬼ごっこ隠れんぼしながら、愉悦の笑みが止まらなかった。  声を上げて笑う。  物音と気配に振り向いた夜叉のような女が発砲する。  瀬戸には弾丸は届かない。  身代わりの楯に、土手っ腹に穴が開いたのは、さっき瀬戸が椅子で脳振盪するまで殴りつけたカップルの日本刀男の方だった。意識朦朧としているところを(頭蓋骨にひびが入っていた)引...
  • 鬼畜暴力と狂った人間3/サキの暗黒(後) ※残酷、閲覧注意
     二度目に捕まったときには、背中に蹴りを入れられて階段から転げ落ち、踊り場で捕まれて上の階まで小突かれながら引きずられた。逃げようとしてもがいたけれども無駄、二回ほど思い切り殴られるとそれだけで抵抗する気力が失せてしまった。  廊下ではなくて教室に引っ張り込まれ、足を狙って蹴ったり踏んだりされて、普通に歩くのが難しくなる。折れたかも知れない。   「なんでこんなことするの?」 「楽しいから。あと依頼で...