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  • 中編「怒れる村人たちの凄惨な祭り」1
    後編「羅刹女と惨酷メカ」     1  晴天の、荒野。  村人たちが特別な事情で集っている。  金色の繊細な色合いのショートヘアをそよ風に震わせて、小柄な少女が「客人」に歩み出る。照れたような興奮したような面差しで、微笑み浮かべて後ろ手に組み、どこか踊るような足取りにスカートを弾ませて。  コバルト色の瞳に、魔法のような歪な光が滲んでいる。病的な脅迫観念のような輝きの視線で見つめながら。   「ぱぁパ」 ...
  • 前編「機械の幽霊は麻薬畑で踊るか?」5
    ーーーーー ☆(追伸:同日3/13の朝)☆ 過去に書いた携帯小説を30記事ほどまとめて連続投稿したところ、(謎の制限またはバグで?ユーザー編集ページからの)新規記事の投稿ができなくなりました(深夜のこと、翌朝でも解除されず?)。   なお、作中の「空白行」は、「改行二回」では読者閲覧する記事ページに反映されない(ブログのシステム上の仕様が変?)。それで一連の記事投稿では「改行+スペースキー+改行」で、(読者が見る)記事中...
  • 前編「機械の幽霊は麻薬畑で踊るか?」4
    7 「みんな死んじゃえばいいのに」    一糸まとわない素肌に毛布をかけたパトリシア(パトラ)はベッドで膝を抱えて、親指の爪を噛んで毒づいた。さっきまで部屋に来ていた男たちは、彼女たちを脱がせたところで非常招集がかかって出ていった。   「ミレーユもそう思うでしょ?」   「うーん」    目をキラキラさせたパトリシアに、二十代半ばのミレーユは困った顔で、くすんだブロンドの髪を搔いた。  相部屋のミレーユ...
  • 前編「機械の幽霊は麻薬畑で踊るか?」3
    5  畑の方からの爆発音で、ゲリラの男は薄汚れた無精ヒゲの顔を振り向けた。  しばし唖然として、何事かと考える。  そんなとき、すぐ近くに気配を感じた。  丸い眼鏡、小柄な白衣の娘。二級医師のサユキ・サトーだった。鞄をぶら下げている。   「こんばんは」    ややおずおずと、はにかむような笑顔が可憐だった。まだ二十歳前半で、清楚な甘酸っぱさと初々しさを漂わせ、童顔であることも手伝ってまだ十代の美少...
  • 前編「機械の幽霊は麻薬畑で踊るか?」2
    3  もう空には青い闇が流れて、思い出された星々がまどろみながら瞬きはじめていた。遠景を囲む山々の陰ったシルエットで、暮れなずむ稜線には、淡い残り火のような赤とオレンジの光が薄れていく。  白い月の光が照らしだした、青白い骸骨のような巨人。それは細長い手足でノッポの、珍しいタイプだった。一口に表現すれば、大昔のおとぎ話の「がしゃ髑髏」や「スレンダーマン」に似ていたかもしれない。  ただ、サイズが並外れ...